カイエ

雑感や仮想

2017-01-01から1年間の記事一覧

諧謔

もう限界です。あなたたちが僕を踏みにじっていることを自覚しているのか、言われれば気づくのか、全く自覚していないのか知りませんが、私を不快にさせたり傷つけたりするのが趣味なあなたたちとはいい加減もう会いたくありません。これ以上会い続ければ、…

実感

一篇の詩のように儚く強い言葉 触れるには無理がある俺の前のそのもの 花になる訳もなく漂っている 果てもなく探してる真らしいこと 何をとらえる 何も奪えぬ 何もいらないのに 生きているそれだけで愛せればいいのに 心には無理がある完全に程遠い 花になる…

根腐れ

流しにはひたした水が濁り始めた皿がいくつもあり、空気がこもりやすい部屋はじめじめとして黴がはえているところがある。あと何日かしたら放置された皿にも黴が点々とはえて、いよいよこの部屋は健康を損なっていくのだろう。当の家主はといえば、四、五年…

白い箱

重すぎた言葉を省みる夜には 遅すぎる祈りも少しずつ冷めていくから 閉ざされた窓 彼は崩れていた 箱詰のあなたは 声もなく無垢な少女 思い出す言葉も忘れていく夜には 残された僕らも涙すら乾いていくから 閉ざされた窓 顔は笑っていた 箱詰のあなたは 息も…

神の視線

電車の向かい側に座っている人が隣の人のスマホを覗き込んでいる。隣の人はスマホをじっと見つめていて気づかない。僕はそののぞきという下品な行為を見ている。もしかすると、スマホを見ている人のスマホを覗いている人を怪訝な顔でみている僕のことを見て…

帰り道

日に日に失われていく若さと引き替えに、生まれくる郷愁がある。数年前までは帰省するのは億劫だったのに、今は疲れを癒せるような気がして自然と心が躍る。5歳から生まれ育ち19歳で離れた土地に帰ることは、人にも土地にも愛着を余り感じない私にとって、唯…

きおくのうみ

彼女と初めて会ったのは4、5年前の初夏だった。浪人をして三流大学に入って、これからの大学生活にも人生にも期待できず、浮かれている人ごみの中を怪訝な顔で歩いていた時、彼女もそんな顔で歩いていた。ただ彼女のほうが肌が白かったから、幾分目の下のく…

老いた良き日

日々を暮らす 何もせず あなたの暮らしを思っている 老いた体を奮いたたせ 階段をのぼる 一段ずつでも 物を失くす 電話をかける あなたに届く 想いは実らず 一人窓に腰をかけて来たる終わりを夢見る 向かい合う白いあなたと 話しかける 答えはなく 私が愛し…

遮光

義務も責任もない夏の夜を何度も重ねてしまって、はて何もしていないはずだったのに、何もしない夜長を過ごすことが習慣となってしまった。習慣ということは地味に継続してなされるものだから、何かをしてしまっている気になる。というかもはや夜をまたぎ朝…