カイエ

雑感や仮想

paionia『白書』5.正直者はすぐに死ぬ

 金曜の夜の東京の電車内は地獄の様相を見せる。泥酔し今にも死にそうなサラリーマンがやっとのことで吊革につかまり、ともすれば嘔吐し、それを怪訝な目で眺めるだけで助けようとはしない人々を見る私もまた、傍観者の一人だ。

 大の大人なんだから自己責任でしっかりしろよと思う反面、もしかしたら悪い奴につかまって飲まされたのかもしれないし、泥酔しなければならないような人生の苦しみを抱えているのかもしれない。そういう想像力を持とうと思ってみても、この街は本質的に冷たい。東京は一人で生きていく場所だ。そう思う人間もまた冷たい。

 福島から東京という街に移り住み、そこで10年以上音楽を紡いできたpaioniaにとって、この街は歌う場所であり、生きる場所である。

 正直で嘘がなく、過度なまでに愚直に生き歌うpaioniaの音楽は、すぐに死ぬのだろうか。これからも生き続けるのだろうか。

 こういう音楽が、生き様が、冷たい街の中で誰かにとっての大切な支えとなることを願ってやまない。そして太く長く生きることもできるということを、彼らに証明してほしい。

 

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