カイエ

雑感や仮想

蚯蚓

 例年より早い梅雨明けを迎えた七月は、最後の足掻きをみせる湿気と焦燥にも似た暑さを孕み、憂鬱を助長するのに持って来いだった。急に干上がった地面の上には何匹ものミミズの死骸が散らばっている。黒よりの赤黒い塊となった紐状のものが小さく丸まって一メートル間隔で並ぶ。

お菓子の家への道標のようにその黒点を辿っていくと瞬間、目と鼻の先を車がかすめていった。ひやとした。いっそのことと思ったのは季節のせいだろう。