カイエ

雑感や仮想

成長

 ただの一度も思い出したことのなかった物事、それが不意に迫りくることがある。中学生の時に同じクラスで不登校だった女子生徒、彼女はまだ生きられているのだろうか。あの時期に学校に行かないという選択をできた人というのは実は早熟だったのかもしれない。当時は嘲笑の対象とされていて怠け者と思われていた不登校生徒は、学校という欺瞞の香りをいち早くかぎ分けることのできた、才気ある者たちであったのではないか。そんなこともわからずに得意げに笑っていたあの頃は、底抜けの馬鹿を露呈していたとも言える。純真だった、と割り切ればよいものの、切り離したい過去、切り離したい自分として、確かに記憶に存在する癌、それを私はいつまでたっても愛することができない。優しく撫でることができない。